ABC予想の主張を小学生でも簡単に理解できる説明をしてみる

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体験記

こんにちは。エンジニアのさとるです。

 

エンジニアである前は数学を研究する大学生でした。
そのため、数学には非常に関心があります。

 

そして、数学的なビックニュースが2017年12月にありました。

 

数学の超難問・ABC予想を「証明」 望月京大教授(朝日新聞デジタルより)

 

望月教授は16歳でプリンストン大学へ進学し、19歳で学士課程を卒業(次席)。さらに23歳で博士課程を修了してから、
京都大学の助手から32歳で教授になるというすさまじい経歴の天才です。

 

照明はとても難しく、
全分野が理解できるのは望月教授ご自身だけだそうで、
もちろん僕自身も理解できません。

 

しかし、この予想が何を言ってるのか理解したいと思いませんか?

 

主張を書いたブログとしてはこちらも非常にわかりやすいです。
主張の内容を分解して順番に詰めていき、
主張を理解するというプロセスが非常にわかりやすいブログですので、
参考にしてみてください。

2017-12-16 “独創的すぎる証明”「ABC予想」をその主張だけでも理解する

 

今回は上記の記事とは別角度で書いてみることにします。

 

ポイントとなる考え方は「実験してみる」です。

目次

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ABC予想とは?

まず、Wikipediaに書かれている主張

a + b = c

を満たす、互いに素な自然数の組 (a, b, c) に対し、積 abc の互いに異なる素因数の積を d と表す。このとき、任意の ε > 0 に対して、
c > d^(1+ε)
を満たす組 (a, b, c) は高々有限個しか存在しないであろうか?

(出典:Wikipedia)

 
ここで^は累乗(2乗、3乗、‥)のことです。

 

「ちょっと何言ってるかわからない」

 

確かにそうだと思います…。

ということで、これから実験していきます。
 

ABC予想を実験して確かめてみる

まず、注目する部分は以下の通りです。

a + b = c
を満たす、互いに素な自然数の組 (a, b, c)

 

この、a, b, cを動かしながら実験してみるというアプローチで行きましょう。

a=2, b=3, c=5の場合

a,bが互いに素という条件があるので、2,3を選んでみます。

この時、abcの素因数の積は、2×3×5=30となります。

つまり、ABC予想を書き換えてみると以下の通りになります。

5 > 30^(1+ε)を満たすような ε > 0 ってあるのだろうか。

計算してみるとわかりますが、そのようなεはないんですね。

なぜかというと、εがどんなに小さくても0より大きい以上は30よりも大きくなってしまい、

9より小さくなることはないから。
ということで、a=2, b=3, c=5はだめであることが分かります。

a=3, b=4, c=7の場合

もう少し大きな数で実験してみます。

 

abcの素因数の積はb=2^2(2の2乗)と書けることから、
d=3×2×7=42と書けます。

 

つまり、このケースのばあいには、
7 > 42^(1+ε)となり、
これもダメそうです。

 

ただ、一つ気づくことがあります
素因数にしたときに累乗になるような数字(4 = 2^2,8 = 2^3, 9 = 3^2,16 = 4^2…)で書けば、
d(a, b, cの素因数の積)が小さくなるから、
満たすようなεが取れるんじゃないか

 

と予想できます。
そしてこれは正しいことが、のちにわかります。

 

a=1, b=8, c=9の場合

abcの素因数の積は、この通りとなります。

b=2の3乗c=3の2乗であることがポイントです。
d = 1×2×3 = 6
c = 3であるから、

 

c > d ^ (1 + ε)を満たすεは、
εがかなり小さい値を選んでおくと行けそうですね。
 

これを確かめてみます。
ε = 0.01くらいでやってみます。

 

6^1.01 < 9となっていればOKです。 ここで関数電卓を使ってみると、 6^ 1.01 = 6.108474466879843

 

となり、確かに9より小さくなり正しい

ABC予想の主張って結局何なの?

実験の結果から分かったことが以下の3つです。

 

1.ABC予想の式(a,b,c の素因数の積がcより小さい)を満たすa,b,cの組は意外と少ない
2.累乗になっている数はa,b.cの組になりそう
3.でも無限にあるかもしれない…。

 

3.の心配を打ち消す予想を望月教授は証明して見せたということです。

 

これは数学をやってなかった人でも聞いたことのある、
フェルマーの最終定理(a ^ n+ b ^ n = c ^ nを満たす a,b.cが存在しない)に匹敵する証明です。

 

1.にある通り意外に少ないのだけれど、
それは有限個しかないよ、

 

ということは、何がわかるかというと、
コンピューターで計算することも可能なはずです。

 

終わりに

数学はとても難しい学問ではありますが、

実験してみると、わかりやすくなることもあります。

 

具体的な数字を代入するというのは小学生、中学生でも実は学習しますが、

計算の手段として使うだけではなく、

 

実験するということに使えるということを理解しておくと、

数学がもっと楽しくなりますよ。

以上、さとるでした。

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